炉辺談話: ウンゴロのクエスト - Peter Whalen

炉辺談話: ウンゴロのクエスト - Peter Whalen

このジャングルにはたくさんの秘密が隠されています

大魔境ウンゴロの背景ストーリーを考察していた時、私たちはそのファンタジーの中核に4本の柱があることに思い至りました。すなわち、「恐竜」「エレメンタル」「探検」そして「原始世界」そのものです。恐竜とエレメンタルにはそれぞれの仕組みがあるので、あと一つ、プレイヤーが探検隊員として壮大なるウンゴロクレーターを探索しているように感じさせる要素が必要でした。

クエストカードを作るというアイデアは、ずいぶん長い間、制作チームの頭の中に浮かんでいました。最初は「旧神のささやき」の制作中でした。デザイナーの一人が新しい種類の秘策「クエスト」を考え出したのです。それは、クエストは自分のターンにだけ有効で、その条件を満たすと何かすごいことが起こるというものでした!

とても素晴らしい何かを見つけ出すために失われた世界を探索する、という仕組みを必要としていた我々にとって、このクエストの仕組みはピッタリと当てはまるものに見えたのです。

クエスト選択!

大魔境ウンゴロ」へのクエスト導入を本格的に試してみると決めてからは、試行錯誤の連続でした。始まりのアイデアは、クエストは全てレジェンドカードであり、その報酬は素敵なものである、というものでした――クエストのファンタジーの中核は「苦労する分、報酬もがっぽり」です。ご存知の通り、この中核となるアイデアは現在まで生き続けています。「希望の番人アマラ」「冥界のポータル」「メガフィン」といったクエスト報酬は、これ以外の方法では扱うことができない超強力カードです。

PRIEST__UNG_940t8_jaJP_AmaraWardenofHope.pngSHAMAN__UNG_942t_jaJP_Megafin.pngWARLOCK__UNG_829t1_jaJP_NetherPortal.png

それ以外のクエストカードの要素は、基本的に全て変更されました。

我々は最初に、クエストが自然に既存のルールに馴染み、よりわかりやすいものになるよう、できるだけ通常のカードと同様に感じられるものにしたいと考えました。例えば、最初にプリーストのクエストとして作られたカードは「このカードが自分の唯一の手札である場合、ウンゴロパックに変身する」という効果でした。他のクエストは「大魔境ウンゴロ」に登場するものと非常に似ていて、クリア条件は「特定の種類のミニオンをX枚手札から使用する」といったようなものでした。我々は早い段階で、最も面白いクエストとは、ゲームの進行と共に何かを達成するもの――クエストのファンタジーの中核に最も近いものだと理解しました。

自分の手札の中で変身するクエストカードについて我々が気づいたことの一つは、それが対戦相手にとってかなりのフラストレーションになる、ということでした。相手の視点からだと、どこからともなく現れた異常に強力なカードをあなたが使った、という風にしか見えないのです。例えば、これがプリーストのクエストの最初のバージョンでした。

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これを解決するため、クエストカードは“使用される”ものであり、また両プレイヤーがその進行度を見られるようにしました。「ウンゴロ」では、クエストは秘策と同様、ヒーローの肖像画の周囲に表示されます。

その後我々は、クエストがどのように使用されるかを大いに議論しました。開始時の手札に含まなくても済むよう、単にデッキから自動的に使用される方式を試しましたが、これは少々強力過ぎました。一切リスクがないため、「偶然クリア条件が満たされれば御の字」といった発想で、または単にデッキをカード1枚分圧縮するために、あらゆるデッキにクエストが採用されました。逆に、クエストを引かなければならない、というのは対戦中にクエストを引くまで一切クエストを進行できないため、非常にマズい感じでした。こういった理由から、クエストは必ず最初の手札に入るようにしたのです。

最後に、クエストのマナコストを(0)にするか(1)にするかを決める必要がありました。コスト(0)だった時のプレイテストにおいて、プレイヤーがクエストカードを手札に抱えたまま、進行条件に合ったカードをクエストよりも先にうっかり使用してしまう、ということが多々ありました。コストを(1)にすることは、ゲームの進行を少しゆっくりさせるのに役立ちました――クエストを使用する瞬間のインパクトが強く感じられるようになったのです。さらに、クエストをいつ使用するかという戦略要素も追加されました。なお、クエストの全体的なパワーレベルはコスト(0)だった時のそれが適切と感じられたため、報酬を少しだけ良く、必要条件を少しだけ簡単にすることでバランスを取っています。

2人に見えるか?

仕組みが決まってからは、クエストは大いにこのセットに貢献してくれました。アートの面では、ウンゴロクレーターのファンタスティックな各地域――泡立つタールピットや煮えたぎる温泉、きらめくクリスタルの地下大洞窟を見せる機会を与えてくれました。ウンゴロの世界を生き生きと描写するチャンスを最大限に活用できたのです。

ゲームデザインの面では、それぞれのクラスがウンゴロに立ち位置を確保するのに役立つクエストを与えています。クエストデッキが楽しくまた面白いものとなるよう、例えばプリーストには「トートランのシェルレイザー」や「結晶体の託宣師」など、クエストの助けとなるカードもいくつか追加で提供しています。我々はクエストをクールだと考えていますが、全てのプレイヤーがデッキに入れるものだとは思っていません。これ以外のテーマや、単体で面白いカードも、この探検の舞台に登場するようにしています。

PRIEST__UNG_037_jaJP_TortollanShellraiser.pngPRIEST__UNG_032_jaJP_CrystallineOracle.png

クエストカードはそれを含むデッキにおける中核となるものですが、クエストを含むデッキにおいても、試行錯誤の余地が必ずあるようにしています。例えば同じ「マーロック大連合」デッキでも、マーロック15枚以上を採用した超アグロデッキにもできますし、クエストは終盤に爆発力を得るための手段に留め、厳選した数体のマーロックと「奴らにフカき眠りを」を併用した、それほどアグロではないデッキにすることも可能です。

SHAMAN__UNG_942_jaJP_UnitetheMurlocs.pngSHAMAN_CFM_310_CallintheFinishers.png

9つのクエストを作るにあたっては、それら一つ一つを独特なものと感じられるようにすることも、我々の目標の一つでした。これまで公開してきたクエストは、「断末魔を持つミニオンを7体召喚する」「マーロックを10体召喚する」「カードを6枚破棄する」など、どれも単純明快なものばかりです。

PRIEST__UNG_940_jaJP_AwakentheMakers.pngWARLOCK__UNG_829_jaJP_LakkariSacrifice.png

これらのクエストは直観的で、デッキ構築の際もやるべきことははっきりしています。しかしながら、一部のクラスは他のクラスよりもトリッキーな性質を持っています。そこで、ローグのクエストには、少々違った方向性を与えました。

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同じ名前のミニオンを4体、手札から使用する。そんなこと、可能なのでしょうか?一つの方法として、「影隠れ」や「若き酒造大師」のような、ミニオンを自分の手札に戻せるカードを使うという手があります。別の方法としては、「アザミ茶」や「擬態の卵」など、ミニオンの複数のコピーを作るカードを使うという手もありますね。

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ちょっと待った、「擬態の卵」って何ですか?――そうです、これは「大魔境ウンゴロ」に登場するカードの一枚で、ローグのクエストの助けとなるだけでなく、単体でも面白いカードなのです。

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さて、擬態ミニオンの集団を率いて「地底の大洞窟」の探索に成功した時、はたして何が見つかるのでしょうか?

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このクエストを完遂するためには、デッキに様々な仕掛けを組み込む必要があります。その苦労に報いるものとして、勝利をつかむためのシンプルなパワーをご用意しました。

クエストの仕組みがアイデアとして芽吹いてから導入に到るまで、実に2年が経過していますが、その中核の部分は変わっていません。「大魔境ウンゴロ」にて、あなたは失われた世界を探検し、ものすごい力のためにクエストを完遂して、その原始の力を盤面に解き放つのです。