ハースストーン選手権ツアー（HCT）夏季選手権の手に汗握る決着を迎えた今、以前の記事「HCT夏季選手権のデッキリスト公開」を振り返って、事前の予想がどのくらい的を射てたか、確かめてみようじゃないか。

ロサンゼルスでの3日間で、どんな予想が当たり、外れ、そしてビックリなことが起こったか、ここで発表するぞ…

一つの禁止は全てを統べる 

この大会で一番多く禁止されたデッキが翡翠ドルイド（63%）だ。コンクエスト形式である以上、これは驚くには値しない。ほとんどの選手は翡翠デッキをカモにできるデッキのラインナップを用意してこなかったし、また全選手が用意したハイランダープリーストにとって、翡翠ドルイドは強い天敵だからだ。方程式から翡翠ドルイドを消すだけで、プリースト（こちらも天敵が少ないデッキだ）での勝率、テンポローグの巨大なる可能性、あるいはもっと珍しいマッチアップでのなんやかんやを最大化できるよう、選手たちが注力する余地を作り出せるってわけだ。  

それ以外の禁止はだいたい、個々の選手のラインナップに特有の弱点を潰すために使われていたんだ。二番目に多く禁止されたのはハイランダープリースト（17%）だったぞ。優勝したKim ‘Surrender’ Jung-sooは、テンポローグ以外の様々なデッキに対応できるラインナップを持参していた。数少ないローグの禁止（11%）のほとんどは、彼によるものだった。禁止された回数が少なかった方に目を向けると、トークンシャーマンデッキが数回、ズーウォーロックはWang 'BaiZe' XinYuに2回禁止され、そしてハンターはたった1回、Zheng 'OmegaZero' Linに禁止されただけだった。 

Classy 各クラスのパフォーマンス 

活躍したクラスとそうでないクラスを分けたものは、ミラーマッチ以外では、使い手とマッチアップ次第、というケースが大勢を占めたぞ。数字だけに注目すると、パラディンの剛腕が驚くほど走っていた。大会全体で実に69%もの勝率を誇っていたぞ（ただしパラディンが登板したのは全部で16戦だけだ）。 

来年1月にアムステルダムで開催されるHCT世界選手権の出場権を得た4人の準決勝進出者に注目してみよう。彼らを勝利に導いたデッキには、現在の競技シーンにおける人気のデッキが揃っていたぞ。全員がハイランダープリーストと翡翠ドルイドを持参、そして4人中3人がテンポローグかトークンシャーマン、あるいはその両方を持参してきたんだ。競技シーンの主流から外れていたデッキはたったの2つ、Jason ‘JasonZhou’ Zhouのハンドロックと、Surrenderのマーロックパラディンだった。

定番のラインナップを外してきた選手のほとんどは、その報いを受けるハメになったぞ。翡翠ドルイドを外した選手は、1人も準々決勝まで生き残れていない。ウォリアーデッキを使っていた3人の選手の内2人も、進出はできなかったんだ。一方、世界選手権に進出したOrange、Purpleと同じメタのラインナップを持参したPavel 'Pavel' BeltukovやRiku 'YAYTears' Miyao も、今一歩力及ばずだった。前回の記事でハイライトされた「ユニークなデッキ」を持ち込んだ選手は、全員準決勝までたどり着かなかったんだ。 

テックカードの打率 

ハイランダープリーストに「ガジェッツァンの競売人」を、トークンシャーマンに「海の巨人」を入れるというJon 'Orange' WestbergとRyan 'Purple' Murphy-Rootの決断は、見事に功を奏したようだな。「～競売人」はミラーマッチでは強さを、他のマッチアップでも柔軟性をもたらし、「海の巨人」はミニオンを大量展開した時とされた時に真価を発揮した。2人の選手が共に世界選手権への出場権を勝ち取るのに一役買ったんだ。それ以外のテックチョイスのほとんどは不振だったようだな。大会に備えていた選手たちは、「精神支配技士」に引っかかるようなプレイはあっさり回避していたんだ。

表彰するべきは「ドブネズミ」だろうな。割と多くのデッキに定番として採用されていたし、夏季選手権のハイライトシーンでも輝いていたからな。少数派のテックチョイスとしては、ミラーマッチでの勝利に重点を置いて調整されていたGuillermo 'Empanizado' Tolosa Góngoraのテンポローグも（「ゴラッカ・クローラー」の採用など、かなりシンプルな選択の割に）上々の活躍を見せていたぞ。