開発者の洞察: 「ウィッチウッド」ミッションデザイン

開発者の洞察: 「ウィッチウッド」ミッションデザイン

ハースストーンの最新拡張版「妖の森ウィッチウッド」には、呪われた怪物どもや魑魅魍魎がうようよしてる。その森の奥へと踏み込む勇気の持ち主だけが、スリリングな「怪物狩り」に出発し、悪の根源を断ち切るため戦えるんだ。今回の記事では、ハースストーンのミッションデザイナーPaul NguyenとGiovanni Scarpatiの対談を通じて、「怪物狩り」の開発に関する洞察――このモードの強力なヒーローパワーの進化や、一時期カードゲームでタワーディフェンスを表現しようとしていたこと、そしてみんなに大人気の猟犬の主人の誕生秘話など――をシェアするぞ。

猟犬どもをけしかけるのは誰だ?

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Giovanni Scarpati: 「怪物狩り」の開発初期、我々は新登場の「急襲」メカニズムを軸にしたヒーローを求めていたね。忠良なるお供たちを森に放って敵を追いつめる猟犬使いのアイデアは、我々のお気に入りだった。

Paul Nguyen: 構成するパーツが揃い始めた瞬間から、生き生きと動き出したキャラクターだったよ。デイブ・コザックが彼のセリフ全てを書き、それから声優が素晴らしい仕事によって、猟犬使いに生命を与えてくれた。最初はごく基本的な要素だけだったんだ、「よし、犬を使って狩りをするキャラクターを入れよう」という程度のね。ところが、いざ完成し、そのセリフや感情表現を耳にした時には、彼は当初想像していたよりはるかに素晴らしいものに成長していたんだ。実に見ものだったよ。

Giovanni: コミュニティの反応も実に良かった。だから、これらのキャラクターへの肉付けを続けていきたくなったんだ。「猟犬使いショー」はエモートがすごくイイから、彼をハンタークラスのヒーローにして欲しい、という要望が実に多くのプレイヤーから寄せられてるよ。ごく限られた数のセリフに、個性がふんだんに盛り込まれているんだ。コミュニティが怪物ハンターたちを好きになってくれて、本当にうれしいよ。

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Paul: ショーがすごく「いい」って感じられるようになったのは、彼の子飼いの猟犬であるプリンセス、ブッチ、ババを作った時だった。ショーと猟犬たちがはっきりと形になり始めると、全てがよりしっかりと噛み合い、より楽しく感じられるようになったんだ。というか、楽しすぎたかもしれない――確か、初期のプレイテストでは、ショー1人でハガサを倒せたよね?

Giovanni: そうそう、当時彼のデッキには最初から「腐肉食いのハイエナ」が入ってたからね。それを出したら、自陣のミニオンとヒーローパワーを利用して、即座に強化することができた。「透明マント」か何か、ハイエナを守る手段を持ってれば、「放電レイザーモー」で疾風を付与することも可能で、そうなればこの20/20のミニオンでハガサを毎ターン2回殴ることができたんだ。

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Paul:今でも、戦利品から「腐肉食いのハイエナ」を手に入れてデッキに追加することは可能だけど、最初からデッキに入っているとあまりに強すぎた。正直なところ、「腐肉食いのハイエナ」のシナジー効果をあれほど警戒してたのに、「ブッチ」を実装したことに少々驚いてるよ。獣が死んでも全然困らない…どころかむしろどんどん強くなるヤツを入れるなんてね!

Giovanni:それはまあ、数多くの犬を訓練してきてるショーにとっても、ブッチは特別な犬の一匹なんだから、ちゃんとした理由があるんだよ!各ヒーローの魅力を輝かせることは重要だ、特に、専用の宝物カードではね。

Paul:仇敵もまた、各ヒーローの個性を際立たせるための助けとなる要素の一つだね。

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Giovanni: その通りだ。仇敵にはそれぞれ、背景世界に登場する有名な巨悪、あるいはセットの収集可能カードに含まれている主要キャラクターと結びつくストーリー要素を持たせ、彼らが悪役である理由を明確にしたかったんだ。「グリンダ・クロウスキン」はセットの収集可能カードのミニオンの1体だったが、我々が当初彼女について知っていたのは「沼地に棲む魔女」ということだけだったね。我々は彼女のストーリーを推し進め、彼女のヒーローパワーによって遭遇に「陰陽」の要素を加えたんだ。ミニオンがずらりと並んだ戦場で、猟犬使いが獲物の気配を嗅ぎまわる…でもグリンダが無敵状態だったら、いくらミニオンをけしかけても無意味だろう?猟犬の牙をグリンダに食い込ませるには、クリエイティブに考えて方法を見つける必要があるんだ。

プリティ・プリンセス・ヒットリスト

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Giovanni: 猟犬使いのスタート地点はメカニクスだったけど、「追跡者」については、キャラクターから着手する方がより適切だって考えたよね。ギルニーアスがテーマだと決まったその時に、テス・グレイメインを登場させる必要があることはわかってたよね、特に、1人プレイモードに。

Paul: うん、それと彼女の初期のヒーローパワーはものすごく複雑だった。2マナで「賞金稼ぎ」用の武器1つを発見する、っていう効果で。

Giovanni:一見シンプルだけど、「賞金稼ぎ」用の武器を発見する度に、同じ武器は選べなくなるっていう仕組みだった。つまり、テスのヒーローパワーを3回使うと、もう選べる武器はなくなる――この時点から、戦場を漁って「再利用」できるようになった。このコンセプトはテスの設定にはピッタリだったけど、メカニクスとしては複雑すぎた。テスト中、プレイヤーの多くは「再利用」ができるようになることを理解してなかった――有用な能力として使われるよう意図していたのに、イースターエッグみたいな感じになってたんだ。

Paul:チーム全体でプレイテストしてからは、「再利用」は一躍大人気になったよね。呪文を再利用するのがめちゃくちゃ面白い、って意見がひっきりなしで、それで「再利用」をテスのデザインの中核にしようと決めたんだ。でも賞金稼ぎの武器自体は残しておいた。それは個別の宝物「商売道具」として実装された。フィードバックにはそれだけ大きなインパクトがあり、私たちが気づかなかったものに気づく助けになってくれるんだ。

テスのヒーローパワーについてのフィードバックで最も多かったうちの1つが、相手が使用した秘策を見破れるのがすごくいい、ってことだった。

Giovanni: トキとテスはどちらも、ヒーローパワーでそういうことができるよね。テスの方は整然としてる――前もって秘策が何なのか確認して、それを逆手に取るかどうかを決められる。一方、トキは秘策にハマってから「ああ、この秘策なのね!」って言って巻き戻す。

時の匠トキ

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Paul:トキと言えば、この謎めいたタイムトラベラーのノームの起源は何か?気になるよね。ミッションセット用の新しいヒーローパワーを考えていた頃、自分のターンをリセットする、というアイデアの検討を始めたんだ。間に合わせのプロトタイプバージョンを組んでみて、3ターンほど試してみた時には、もうすっかりゾッコンになってた。まるでイカレたみたいに爆笑してた――「マッドボンバー」を最初にリセットした時なんか、思わず「これだよ、これ!」って口をついてたね。

Giovanni: ヒーローパワーを「ターンリセット」に決定した後、我々には、ギルニーアスの誰がこんな能力を持ち得るか、という疑問の答えが必要になった。最初は占い師を検討したんじゃなかったっけ?

Paul:そうそう、しかも「旧神のささやき」のトレーラーに登場する占い師本人だった。でも、トキを創ることになってよかったよ。ただ私が思うに、彼女がキャラクターとして実現できたのは、彼女の仇敵を思いついた時だったね。君が「そりゃ、未来のトキと戦うでしょ?」って言った瞬間、何もかもがきっちりと噛み合った感じだったよ。

Giovanni: タイムトラベラーの仇敵として、「自分自身」以上にしっくりくるのはいないだろ?「無限のトキ」は、トキの楽しい点全てを引き継ぎ、増幅させる――悪役らしくね。

Paul:トキでプレイしてると、何となく自分が悪役になった気がするんだ。何しろ基本的に彼女は、ハースストーンでチートを使えるようなもんだから。特に初期のバージョンはクレイジーだった、ヒーローパワーを毎ターン何度でも使えたからね。さすがにあまりに強力だったんで、制限する必要があった――ただし、「競売王ビアードオ」や「コールダラ・ドレイク」のようなカードがあれば、今でも初期バージョンの強さを体験できる。それらのカードを怪物狩りデッキに追加出来たら、思う存分巻き戻しを楽しめるよ!

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Giovanni:我々はタイムトラベラーではないから、トキのことをまだあまりわかってないってことだけは困ったことだ――でもそれってエキサイティングだよね。彼女とともに旅できる場所が、たくさんあるんだから。各キャラクターに対するコミュニティの反応を見るのはとても楽しい。みんなが注目するのは誰か?みんながもっと知りたがるのは誰か?その流れに乗っていくのは楽しい――プレイヤーのみんなが、ハースストーンの伝承を織り成していくのに、本当に力になってくれている。

Paul:良い例が、「凍てつく玉座の騎士団」の「A. F. ケイ」だね。ほんの端役の1人に過ぎなかったけど、彼女には自分の名前があったから、レジェンドにしたんだ。それからサウンドデザイナーの1人、Andy Brockが言ったんだ。「口笛を追加してみないか?」それも実現した。コミュニティの人気も上々だったんで、「コボルトと秘宝の迷宮」のダンジョン攻略に再登場させなきゃ、ってことになったんだ。

Giovanni:彼女は人気があるよね、それと「無限のトキ」も。すごくクールなファンアートをいくつか見かけたよ。未来で何が待ってるか、彼女に聞いてみないとね。

大砲準備よし!

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Giovanni:さて、野砲使いはどんな風に誕生したんだい、Paul?君はずいぶん長い間、そのコンセプトを温めてきたよね。

Paul:確かにずいぶん昔にさかのぼるよ。「ダンジョン攻略」を完成させた後、次は何を作るか、考える時間があったよね。次の拡張版の舞台がギルニーアスになることはわかってたから、プレイヤーが怪物の波状攻撃から街を守る、ってシナリオを考えたんだ。最後にはタワーディフェンスのシナリオを作ろうとしたけど、完成はしなかった。タワーのメカニクスは面白かったけれど複雑で、単純化し続けていった結果、最終的には戦場に大砲を一台置くことになった。

Giovanni: そう、そこら辺りで私がチームに合流したんだ。我々はもう「怪物狩り」に出掛けるようになってて、この時点で既に基本的には怪物ハンターが1人完成してた!初期に彼をテストしていた頃、彼は常に最弱だった。クールなヒーローパワーを見て、テスターたちはとにかく大砲を撃とうとする傾向があったんだ。でも序盤で大砲を撃つと盤面のテンポが大きく後退するため、ボスが大型ミニオンを出す頃には対処不能になってしまう。

Paul:そう、ヒーローパワーのコストを下げたり、ダメージを増やすことについてずいぶん話し合ったね。最終的には、彼のデッキに専用の宝物「追加火薬(コスト1マナ、大砲のダメージ+2)」を入れることに落ち着いた。開始時のデッキに宝物が入ってるのは彼だけだって、たぶんプレイヤーのみんなも気づいてるよね。

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Giovanni: そして「ドラゴンファイア弾薬」や「戦術的増援」などの宝物を増やしていくと、大砲の価値は上がり、ますます大砲に頼れるようになっていくんだ。

Paul:しかし、野砲使いをプレイするにあたって一番重要なのは、配置にも気を配る必要があるってことだ。配置を重要にすることは、デザインの意図だった。最終的に「急襲」ととてもうまく噛み合った。手札から何か出して自陣の配置を変えるだけでなく、相手の陣地の配置も変えられるポテンシャルがあるからだ。

Giovanni: 最終的に、怪物ハンターはそれぞれ、異なる種類のプレイヤーにアピールできるようになった。例えば、野砲使いはとても戦術的だ。テスは未来志向で、前もってコンボを組んでおくプレイヤーに恩恵がある。「急襲」してから顔面を殴る、「今を生きる」のが好きなプレイヤーは猟犬使いショーを楽しめるだろう。そしてトキはプレイヤーに、ランダムなあれやこれやを使う楽しみと、うまく行かなかった場合の逃走プランを与えてくれるんだ。どの怪物ハンターが好きかで、プレイヤーの属性が見えてくるだろうね!

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「怪物狩り」の裏話を聞いて、狩りに行きたくなってきたかい?怪物狩りはハースストーンの無料の1人プレイモードだ、ログインしてすぐに狩りに出発できるぞ!怪物ハンター達、そしてギルニーアスとウィッチウッドの重要人物についての情報をもっと知りたいなら、「名状しがたい名士録」シリーズを読んでみてくれ。(パート I パート IIパート III

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